戦跡を巡り未来を描き直す/私の静かな挑戦
問いから始まる「挑戦」
本を読み、ドラマや映画を通じて歴史に触れることによって、そこにはかつて日本が朝鮮半島や他のアジアの人々に対して強いた不条理——言葉を奪い、尊厳を傷つけてきた加害の歴史が、逃れようのない事実として描かれていること、さらにそれらを全く勉強してこなかったことに私はショックを受けることがよくあります。
画面越しにその光景を見つめながら、私の中に一つの根源的な問いが突き刺さりました。
自らのルーツを否定され、他国の言葉を強要された記憶が血肉に刻まれていたとしたら。その末裔を前にしたとき、私は報復の念を抱かずに、微笑んで迎え入れることができるだろうか。その重い問いを「知らない」という言葉で片付けることはできませんでした。
もし、立場が逆だったとしたら。私は彼らのような寛容さを持ち得たでしょうか?
戦跡ツアー
単なる情報の消費で終わらせず、自分の足でその地を訪れ、この眼で確かめたい。そう強く突き動かされたのが、私の「戦跡ツアー」の始まりです。韓国語の習得を志したのも、かつて奪われた言葉を今度は私が学び、対話を試みるという、私なりの「未来を紡ぐための挑戦」でした。
未来を紡ぐための挑戦
旅の記録:海が繋ぐ二つの記憶
【統営(トンヨン):受け取った優しさの深さ】
「東洋のナポリ」と称される美しい港町・統営。しかしその名の由来は、400年前の侵略から国を守るために置かれた「統制営」にあります。古くから続く侵略と抗いの歴史を背景に持つこの街で、私は韓国語を使い、現地の方々と対話を重ねました。

ニュースで聞く「反日」という言葉とは裏腹に、出会った人々は驚くほど温かく、私を歓迎してくれました。その優しさに触れるたび、導入の「自問」が再び胸を去来します。彼らの寛容さに甘えるのではなく、その背景にある「洗兵(兵器を洗い、平和を願う)」の精神を、私は描き留めたいと強く思いました。
【長生炭鉱:海底に眠る沈黙の声】
一方で、日本の山口県宇部市にある長生炭鉱跡を訪れました。ここは戦時中、多くの朝鮮半島の人々が過酷な労働の末に水没事故の犠牲となった場所です。海面に突き出す「ピーヤ(排気筒)」を目の当たりにしたとき、その静寂に圧倒されました。

かつての日本が守ろうとした未来の上に、今の私たちは立っています。海の底に今も眠る方々の無念を思うと、単に「悲しい」という言葉だけでは収まらない、歴史の連続性の中にいる自分を実感しました。
絵筆に込める、言葉にできない思い
私はこれらの場所でスケッチブックを広げました。写真だけでは捉えきれない、その場の空気感や、自分の心に去来する「描ききれなかった思い」を線に込めるためです。
かつて描いた戦跡の絵を見返すと、当時の人たちが守りたかったはずの未来を、今自分がどう生きるべきかを問い直されます。歴史を直視することは苦しい作業ですが、ただ悲しむ段階から一歩進み、この経験をどう糧にするかという「思考の転換」が私の中で起きました。
未来へ向けた「次の一歩」
これら以外にもいくつかの旅を終えた今も、私の中に芽生えた問いへの明確な答えは見つかっていません。おそらく、この先も簡単に見つかることはないでしょう。
しかし、答えが出ないからといって目を逸らすのではなく、問いを抱えたまま歩き続けること。それこそが、今の私にできる「未来への挑戦」なのだと考えています。
かつて言葉を奪った歴史を背負いながら、自らの意志で言葉を学び、対話を重ねる。海に沈んだ声を拾い上げ、色を乗せ、ブログという形ある記録として残していく。過去は変えられませんが、過去を知ることで、未来への眼差しを変えることはできます。
私はこれからも、この静かな戦跡ツアーを続けていきます。優しさに甘えず、歴史に学び、自分なりの言葉と筆で、より誠実な未来を描き出すために。
パプアの密林やフィリピンの深い山々。そこへ辿り着くには、まだ私の力は足りないかもしれません。けれど、まずはサイパンやパラオの海に立ち、奪われた言葉の断片を拾い集めることから始めたい。その一歩一歩が、いつかあのアジアの深い闇の奥に眠る無念に届くと信じています。
2026年 旅の予定:歴史の断片を拾うアジア遠征路
- 3/12~15:喜界島 特攻の記憶、最初の第一歩。特攻花を拝む。
- 4/10~13:光州 現代史。WOWPASSに10万円チャージ。
- 5/15~18:沖縄(北部) 地上戦の跡ガマを巡り、アジア遠征の予習。
- 6/19~21:対馬 境界の要塞。「日本から見る韓国」を体感。
- 10/16~19:徳之島 戦艦大和。犬田布岬で鎮魂の祈りを捧げる。
- 11/13~16:浦項 カニを食う。
- 12/18~21:沖永良部島 地下指揮所。ほぼ完全な遺構で旅の総仕上げ。
